任意整理の和解後に払えなくなった場合の対応
1 任意整理と期限の利益喪失
消費者金融会社やクレジットカード会社からの借り入れ等については、その返済について、契約条項で、1回でも期限に遅れると期限の利益を喪失すると規定されています。
しかし、任意整理の和解では、返済の遅れが2回分に達した場合に期限の利益を喪失すると定める業者がほとんどです。
例えば、毎月の返済額が1万円となっている場合、返済の遅れが2万円に達すると期限の利益を喪失し、残額を一括で返済しなければならなくなります。
もしも、休職等で短期的に収入が減り返済が厳しくなったものの、すぐに回復できる見込みの場合であれば、返済の遅れが2回分に達しなければ期限の利益は喪失しませんので、返済の遅れが2回分に達しないように調整し、収入が回復した段階で遅れを取り戻すとよいといえます。
上記の例でご説明しますと、4月は1円も返済できず、5月も厳しい場合、5月の返済期日までにとりあえず100円であっても返済しておけば、返済の遅れは2回分には達しませんので、6月に支給される賞与で遅れを取り戻せばよいということになります。
また、返済の遅れが2回分に達した場合でも、それまでにある程度の期間返済が行われていて、返済の遅れが短期間で回復できる見込みであれば、期限の利益を再度付与してくれる業者もあります。
2 期限の利益を喪失し一括返済の請求が来た場合
期限の利益を喪失してしまい、一括返済の請求が来た場合は、その後の対応について検討する必要があります。
まず、期限の利益を喪失した原因が比較的短期間の収入減少のためで、数か月程度返済をストップできれば、その後は再度同程度の金額の返済が可能になる場合は、弁護士に再度の任意整理を依頼することを検討するとよいと考えられます。
弁護士に再度の任意整理を依頼すれば、しばらくの間、返済をストップすることが可能になります。
もちろん、弁護士費用の支払いが必要となりますので、返済をストップしている間にその積み立ては行う必要があります。
次に、月々の返済額を減額できれば継続的な返済が可能になるという場合は、個人再生を検討するとよいと考えられます。
この場合に、再度の任意整理を希望される方もいらっしゃいますが、すでに一度任意整理を行っているため、ここから再度の任意整理によって月々の返済額を大幅に減らすことは困難であることが通常です。
最後に、失職等で返済が厳しくなった場合等は、自己破産を選択せざるを得ないということになります。
3 任意整理の和解後に払えなくなった場合の注意点
任意整理の和解後に払えなくなった場合、払わないまま放置してしまう方も少なくありません。
しかし、弁護士に任意整理など、借金問題の解決に向けた手続を依頼せずに放置していると、訴訟や支払督促を提起され、給料や預貯金に強制執行されるリスクが高まります。
和解後に返済ができなくなった場合は、直ちに弁護士に相談してください。